プーチンより愛を込めて

素顔のプーチンを貴方は目撃する

2023年4月21日より全国絶賛公開中!映画館情報▼

カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭ベストドキュメンタリー賞2018

ロシア、終わりの始まり我々はいま歴史の目撃者となる

Introduction

ロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィンの後を継ぎ、2000年に第2代大統領に就任したウラジーミル・プーチン。当時の憲法上の制限から2期で退いたものの、2012年の大統領選で復帰。実質的に、プーチン政権は20年以上にわたり続いている。プーチンはいかにして権力を握り、現在の統治国家を築き上げたのか。

ヴィタリー・マンスキー監督は、引退を宣言したエリツィンの指名を受け1999年12月31日、プーチンが大統領代行に就任してからの1年間を追った貴重な映像を編集して、1本のドキュメンタリー『プーチンより愛を込めて』を完成させた。本作に使用されている映像は、すべて、ウクライナ出身のマンスキー監督が国立テレビチャンネルのドキュメンタリー映画部の部長だった時に監督自身が撮った素材で、ほとんどが未公開だったもの。2014年3月にロシアによるクリミア併合のプロセスが始まった時に、監督はロシアを捨て、ラトビアに移住し、本作の素材の権利処理や編集を始めた。現在ロシアでは監督に逮捕令状が出されていて、ロシアに一歩足を踏み入れたら逮捕されるという状況の中、日本での公開が決まった。

大統領選挙活動では控えめな印象のプーチンだが、徐々にベールの奥に隠されていた本性が見えてくる。その過程はまさに心理スリラーの様相。自身の後継者としてプーチンを20人の候補者から選んだエリツィンだが、やがて自分が利用されていることに気が付き、丸1年後の自宅でのインタビューでは、プーチンについて「赤」と断言するまでに……。

大統領就任後、第二次チェチェン紛争、五輪のドーピング、ウクライナ侵攻が始まったほか、プーチンに逆らった人々の亡命、投獄、死もあった。今だからこそ新たに気づくことがある、若き日のプーチンを映した、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞受賞作。

Story

1999年12月31日、この日、ロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィンが辞任した。彼は自身の後継者としてウラジーミル・プーチンを指名、3ヶ月後に行われる大統領選挙までの間、ロシアの新しい憲法、国旗は若き指導者に引き継がれた。ヴィタリー・マンスキー監督は、大統領選挙への出馬表明をせず、公約を発表しないまま、名目は違えど“選挙運動”を展開するプーチンの姿を記録していく。ロシア各地へ足を運び、諸問題の解決、第一次チェチェン紛争の"英雄"たちへの慰問や恩師との再会を"演出"したプーチンのPRチームは、国民が抱く彼のイメージを「強硬」から「親身」へと変化させる。
マンスキー監督は、ソ連時代の旗や国歌が使用されていることに不安を覚え、プーチンに直接斬り込んでいく。2000年3月26日の開票日当日と2000年の大晦日の、エリツィン元大統領の自宅での貴重映像を辿ることで、プーチンの本当の姿が炙り出されていく。

Cast

ウラジーミル・プーチン、ミハイル・ゴルバチョフ、ボリス・エリツィン、トニー・ブレア、アナトリー・チュベイス、ベロニカ・ジリナ、ライサ・ゴルバチョフ、ミハイル・カシヤノフ 、ミハイル・レシン、ドミトリー・メドヴェージェフ、グレブ・パブロフスキー、クセーニャ・ポナマロワ、ウラジスラフ・スルコフ

Staff

監督・脚本・撮影・出演ナレーター ヴィタリー・マンスキー

Theater

青森県 青森松竹アムゼ 6月2日~

東京都 池袋シネマ・ロサ
アップリンク吉祥寺
4月21日~
4月21日~

神奈川県 シネマジャック&ベティ
あつぎのえいがかんkiki
5月27日~
4月21日~

群馬県 前橋シネマハウス 5月6日〜

静岡県 シネ・ギャラリー 6月2日~

長野県 上田映劇 5月6日~

愛知県 名古屋シネマテーク 6月10日~

富山県 ほとり座 近日公開

大阪府 シネ・リーブル梅田 6月9日~

京都府 アップリンク京都 6月9日~

兵庫県 元町映画館 6月17日~

岡山県 シネマ・クレール 6月16日~

広島県 横川シネマ
シネマ尾道
6月17日~
6月17日~

香川県 ソレイユ 7月21日~

福岡県 KBCシネマ 4月28日~

宮崎県 宮崎キネマ館 5月19日~

沖縄県 桜坂劇場 6月10日~

Comments

本作にもあるように、大統領就任後のプーチンはエリツィンからはすぐ離れていき、あっという間に名実ともに権力者になっていった。彼はもともと羊ではなく、狼だったのだ。
元KGB人脈の文化に「人権」や「人道」の文字はない。
その後、プーチン政権はロシア国内外で反対勢力への殺戮に邁進し、やがては隣国への侵略にまで踏み入っていくことになる。

黒井文太郎(軍事評論家)

エリツィンの「自由なロシア」に終焉をもたらしたのは果たしてプーチンだったのか。
それとも自由に戸惑って、徐々にそれを望まなくなったのはロシア国民なのだろうか。
そんな正解のない問の答えがこのマンスキーの映画にはある。

岡部芳彦(神戸学院大学教授・ウクライナ研究会会長)